バイオレット・ダークルーラー
未来
【黒にまみれた街の中心で
闇空に向かいそびえたつ摩天楼の頂には
すみれ色の瞳をした、綺麗な獣が棲むという。
――…その獣こそ、麗蘭街の支配者である】
「シュリー」
「………」
「おーい、シュリー」
「っ!…ごめんマッシュ!ぼーっとしてた」
――…夜。
頬を撫でる冷たい風にあたっていると、マッシュが声をかけてきた。
「支配人様、ちゃんとあの世に行けたかナ」
「…そうだといいね。ご本人は地獄って言ってたけど」
「…ウン。ボクは何だかんだで天国に行けたんじゃないかと思うヨ。創設者様がお迎えに来てくれてたら寂しくないだろうネ」
――…支配人の四十九日が、ひっそりと営まれたのだった。