バイオレット・ダークルーラー
ーChapter 2ー

波動








「……ん…」

「目が、覚めたようですね」



柔らかな声に撫でられるようにして、ゆっくりと目を開く。

意識をしっかりと持つと、優しい眼差しの男性がわたしに浅く礼をした。



「っ、え、あの、」

「昨日はご来店下さり、誠にありがとうございました」

「っ…店員さん…?」

「はい」



高級そうなブランケットを意識もせず剥ぎ取り、周りをキョロキョロと見渡す。


確かに莉菜とご飯を食べた場所と同じ天井。そして今の服装はラフだけれど、間違いなく昨日の店員さん。


…まず今は何時だ。そもそもわたしは昨日麗蘭街に来てから、わたしは。


…わたしは――…。




「っ紫月さんはどこですか!?」

「…。良かったです、覚えていらっしゃるようで」

「……え…?」


「お客様、紫月様の目の前で気を失われたのです。驚いたのでしょうね」

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