医者の彼女
和弥「…はぁ。」

心底呆れたようなため息が聞こえる。

怖くなって顔色を伺うように和弥さんをみる。

和弥「ま、今日からは医者の彼女として、
自分の体調にはしっかり気を使ってもらいますよ?」

ニヤリと笑われる。

和弥「…とりあえず、今日は風呂入って寝ろ」

「えっ!…きょ…今日泊まるんですか?」

和弥「何、嫌なの⁇」

「そ、そうじゃなくて…着替え…。」

そういうとどこかに行ってしまった。

戻って来た和弥さんの手には見慣れない
スウェットと、見覚えのある下着。

和弥「ん。」

渡されたのは和弥さんのスウェットと、
間違いなく私の下着で…。

「…え、なんで?」

和弥「…お前の忘れもん。」

うそ…

よりによって下着忘れるなんて…
女として終わってる。

「…すみません…」

恥ずかしくてもう顔を見れない。

今からほんの少し前、付き合うって言った事
さえ撤回したいくらい後悔する。

その気持ちを知ってから知らずか、
そもそもあまり気にしてないのか。

和弥「いいから入ってこい」

「…はい。」

逃げるようにお風呂を借りて、
ベッドは前と同じ部屋を使わせてもらう。

きれいに整えられたベッド。
横になると洗い立ての匂い。

…シーツちゃんと洗ってあるんだ。

出来るだけ顔を合わせないうちに寝ようと
思い、横になると咳が出てくる。

和弥さんに心配や迷惑をかけれないと思って
我慢していると、和弥さんが部屋に入ってくる。

和弥「…大丈夫か?」

「…っ…コホッ…あ、すみません…」

和弥「いや、いい…薬のんどくか?」

頷くと準備をしてくれて、吸入薬を吸う。

しばらくして落ち着いた頃。

背中をさすってくれていた和弥さんが口を開く。

和弥「…なぁ。バイト、いつもあんなに
遅くまで働くのか?」

「いえ…次の日が休みとか、
1限が休みの時とかだけです」

和弥「…働くなとは言わないけど、
身体壊したら元も子もないからな?」

「…きをつけます…」

全然カップルらしくない会話。
これじゃいつまでたっても医者と患者の
ままかもしれない。

せっかく付き合える事になったのに…
そう思うと切なくなる。

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