医者の彼女
無事、地獄の採血を終えた私は、
和弥さんの仕事が終わるのを待って
一緒に帰ることになった。

検査の結果は案の定、改善してるとは言えず
本当はまだ入院してなきゃいけないけど
病院にいてもご飯食べれないから、
家でちゃんとご飯を食べること、無理はしない事、
薬を飲む事などなど、色んな条件をつけられて、
上司の常田先生からの許可も得て何とか
退院していいって事になったらしい。

和弥「しばらくは外出禁止だからな。
学校もバイトも。」

「えー‼︎大丈夫だよ。働ける!」

和弥「…退院取り消すぞ。」

これはマジなトーンだ。

本当に取り消されると困るから慌てて訂正する。

「う、嘘。ちゃんと大人しくしてます…。」

和弥「わかれば宜しい。…帰るぞ」

そして久しぶりに2人で家に帰る。
和弥さんが玄関を開けてくれて部屋に入る。

2週間くらいだけど、すごく懐かしい感じがする。

和弥「亜妃、お帰り」

「…ただいま。」

和弥「…やっと帰ってきた。挿管されたときは
俺の方が生きた心地しなかったんだからな。」

そう言ってギュッと抱きしめてくれる。

大きい手、あったかくて安心する。

「ごめん…」

そう言って、ぎこちなくも彼の背中に手を回すと、
ふと目が合い、どちらともなく自然と唇が触れ合う。

やっぱり私、この人が好きだ…。
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