医者の彼女
それでも和弥さんのお説教は止まらない。

和弥「それに雨が降るって言ってんのに、
公園に寝てたらしいじゃん。今どきドラマでも
もう少しまともなとこに行くだろ。
あんなとこに居たらこうなる事くらいわかるよな?
一応ね…仮にもあなた医者の彼女なんですよ?
その自覚あんのか?
もう少し自分の体調管理くらいしろよ」

怒ってるけど、それは私を心配してくれての事。
父親に怒鳴られた時とは全然違う。

確かにちょっと怖いけど、怒られてるのに
嬉しかったりして、何とも不思議な感覚。

怒られる事が幸せな事だなんて、初めて知った。

そんな事を考えていると…聞いてんのか、と
頭を小突かれる。

あぁ。この人が、ニヤリと笑うこの顔が…
堪らなく好き。

そして今日はよく喋る。
普段から口数が少なく、口調だって冷たい。
まともにデートもしないし、
「好き」なんて言葉を聞いたこともない。
それでも、彼の言葉や態度は私を包んでくれて
私はその度に、彼を好きになっていく。

それは多分これから先も変わらない。

だから… この人と一緒に居たい。
もう離れるなんて考えたくない。
その気持ちも込めて、精一杯の言葉を口にする。

「だいすき。」

和弥「…俺も。」
< 196 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop