Letter from the Starry Sky ―君がくれた世界―
the Sun




さて。クリスマスが終わると、世間は何へと方向転換するでしょうか。



そう。お正月。


そして私はお正月が嫌いだ。
ていうか基本、イベントが嫌いだ。

あのうるさい人混みが、むせかえるような熱気が、嫌い。



世間一般的には、お正月は親戚が集まり年を越すのだろうけど。


父親は毎年、大晦日から家を空ける。どこほっつき歩いてんのかは知らない。

まあ一応大企業の役員で、仕事では成功してる……と言って良い人だから、何か仕事絡みのことをしているのかも知れないし、あるいは全く仕事では無く遊んでいるのかも知れない。


兄は父より気まぐれで、家を空ける年もあれば、家に人を連れ込んだり、馬鹿騒ぎさせたりしている年もある。

だから私のお正月は2パターン。
1人か、もしくは兄とその連れ達が居るか。

ま、そんなこんなでお正月は出来れば家に居たくない。



去年までは大晦日の夜に家を出て、一晩中街をふらふらして時間を潰していた。すっかりお祭り騒ぎの街は、案外1人でふらついている少女に気付かないものだ。



今年はどうしようか。


今日は12月31日、現在午後3時。
腕時計の長針が7分を指そうとしたその時、私の目はユウの姿を捉えた。



「あ、ユウ!」



スーパーマーケットのお肉売り場の前で、カートを押していたユウの背中に呼び掛ける。



「あれ、レイ。偶然」


「あぁ……うん」



ユウはもう慣れてしまって別段驚いた様子もない。


いや、正確には偶然じゃ無いんだ。今日は珍しく、あんたを探してたの。

そうは言っても探したところで普通は連絡せずに見つかるなんてこと無いんだけどね。やっぱり私達ってなんか不思議。




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