もう一度君と ~記憶喪失からはじまる2度目の恋~
出来損ない
目が覚めて、私は声のする方へ向かった。

自分の部屋を出て茶の間のから聞こえてくる声に私は耳を澄ませる。

そこでは恭と嶺が話をしていた。

「彼女には才能が有りました。小さなころからその容姿にも比例してたくさんのメディアからも声がかかっていて。ピアノの才能と合わせてかなり注目されていました。」
「・・・」
「彼女の両親はかなり彼女に思い入れが強かった。彼女をどんどんとメディアに出して、まだ幼かった彼女の睡眠時間や学校に登校する時間も削って、たくさんの仕事をさせました。」
嶺の話を聞きながら記憶のパズルを探すように目を閉じて部屋の前に、二人に気づかれないように座った。
「彼女の父親は仕事を辞めてまで彼女をサポートしました。・・・というよりはいつの間にか彼女が一家の大黒柱にされていたというほうが表現が正しいかもしれません。」
「その時彼女はいくつくらいだったんですか?」
「まだ、小学生でした。」

私の中に眠る記憶。
そのすべてをこの人は知っているのだと、悟る口調に、私は少し怖さも感じながらも知りたいという気持ちが勝った。
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