死にたがりの僕が、生きたいと思うまで。
四章

皮の裏。

「それにしてもマジで焦ったわー。あづは嵐の中歩いて病室行くし、なえは突然泣き出すし。マジ今日色々起こりすぎだろ」
 あづの後ろに座り、ドライヤーであづの髪を乾かしながら潤は言う。
 本当はその他に穂稀先生があづの母親だってこともわかったんだけど、あづが話そうとしないし、黙っておこう。もしかしたら潤にはすでに話しているのかもしれないし。
「ホントだな! いやーまさかなえが泣くとは思わなかった!」
「お前ら、わざとらしいんだよ」
  涙を拭いながら、俺は不貞腐れる。
「アハハ!悪い悪い!」
 笑いながら潤はいう。
「ごめん。なんか思い出すだけですげーおかしくて。だって、いつもしかめっ面だったお前が、突然泣き出したからさ!」
 腹を抱えてあづは笑う。
「うるさい」
 ムカついた俺は、あづの頭を軽く叩いた。
「ごめんごめん。あー、本当におかしっ!」
 それでもすごい笑うので、俺はもう放って置くことにした。

**

「あづ、この髪って地毛じゃないよな?」
 潤があづのドライヤーを終えたのを見計らって言う。
「ちげーよ? 普通に染めてる。親父の真似」
「親父さん?」
「そ。青髪なんだよ。外人だからさ。ほら、外人って派手な髪色の奴多いだろ。それに影響されたんだと思う。ま、会ったことないし、写真でしかみたことないんだけどな」
「ああ、それで生き写しくらい似てるらしいか」
「そそ。見たの母親が持ってた小っちゃい俺と両親が映ってた写真だけだし」
「ふーん。綺麗だな」
 髪を触りながら言うと、あづは嬉しそうに口角を上げて笑った。
「それよく言われる。顔も名前も知らない親なんだけどさ、嫌いじゃないんだよね。だから染めてんの」
「そうか……」
 穂稀先生と二人暮らしなのか。それならサボったってのもあながち嘘ではないのかもしれないな。穂希先生が常時家にいないから、さぼりやすいのかもしれない。もしかして、平日も土日も朝から病院に来るのは、先生に構って欲しいからだったりするのだろうか。
< 38 / 170 >

この作品をシェア

pagetop