俺様幼馴染の溺愛包囲網
少なめのサンドウィッチとおにぎりを食べて、私もコーヒーを入れる。
朝からずっとエアコンが効いた部屋にいるから、ホットにしよう。

「《結衣子の部屋》キャンプでも盛況だったね。」

保健室は、いつのまにか
《結衣子の部屋》と呼ばれている。
子供達が何かと相談にやってくる様子を見て
誰かが言い出したらしい。
どうやら職員の間にまで浸透いているようだ。

「盛況だったねー。
ゲガでも相談事でもね。
思春期に差し掛かった女の子達には
悩み事がいっぱいあるのよ。」

何かこれと言ってすごいアドバイスするわけではない。
相談に来る子供達の大半は、
話を聞いて欲しいだけなのだ。
私はただ聴いてあげるだけ。
気持ちを開放すれば、自ずから答えを導き出すことが出来る。

「俺たちの頃は、前川先生だったから
相談って、恐れ多くて出来なかったよね。
今の子供達は得だよ。
結衣子が保健室の先生なんだから。
若いし。優しいし。
癒しの結衣子先生だもんな。」

「そんなことないよ?
私は、前川先生にいっぱい話を聞いてもらったんだけどな。」

「それは結衣子だけだよ…。」

聖くんが苦笑する。

前川先生、男子には厳しかったからかな?
私にとっては心の師なのに。

「それで話は戻るけど、
ズバリ、お悩み事があるでしょう?」

占い師みたいだね、と苦笑いしながら
「……なんか聞いてる?」
と言う。

「雅ちゃん、連絡あったよ。
今週末、お見合いするんだって言ってた。」

そう。
ここからが本題だ。
聖くんがしたかったのはこの話。

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