俺様幼馴染の溺愛包囲網
納涼ビアガーデン

「お、着けてきた。」

「坂上先生!なんですか…突然…」

シーッ、と口に人差し指を当てながら
聖くんの袖を引っ張り、人気のない方へ連れて行く。

もうっ!周りに聞こえちゃうじゃない!

せっかく亮平がくれた指輪。今日はやっぱり外していこうかと思ったんだけど…。
『絶対外すな!』と厳命され、
そのまま外さずに来た。
まだ慣れなくて、すぐに触ってしまう。

「いや、成功したんだ、亮平のプロポーズ。
おめでとう!
正直、俺、自分のことより心配したわ。」

「……ハハハ…。
ご心配をおかけしました。」

やっぱり。
完全に聖くんが一枚噛んでるよね。
多分、雅ちゃんもだ。
あの指輪がピッタリサイズなんてあり得ないもの。

2人とも、心配してくれたんだな。
今は2人も1番幸せで、忙しい時なのに、
私達のことまで気遣ってもらって…
いつも底なしに優しい兄姉だ。
本当、感謝しかない。

「けど…また派手に付けられたね。
この暑さに不自然なハイネック。
しかも、隠し切れてないし。」

うぅ……そうなのよ。
昨夜は、亮平、盛り上がりすぎちゃって、
朝になって鏡を見て吃驚した。
ハイネックを着てるのに、隠れてない!
亮平のヤツ、やり過ぎよ!
もちろん、プロポーズはすっごく嬉しかったけど…

「フフフ…。しばらく、お預けにしようと思ってるんです。」

そう言って、にっこり笑っておく。
あ、聖くん、顔引きつってる。
でも、お預けされて当然だよね。

「結衣子、通常運転だね。安心したよ。
幸せそうで良かった。
雅にも、ちゃんと報告してやって。」

「うん。LINEで少しだけ話したけど。
週末、ちょっとだけ雅ちゃん借りるね。」

「おう!そうしてやってくれ。」

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