契約結婚!一発逆転マニュアル♡
第二章

電撃婚

『明日の昼、印鑑持参でここに来い。覚悟を決めろよ』

遥翔にそう告げられた依舞稀は、当然のことながら仕事も手につかず、周りに心配されてしまうほどだった。

仕事が終わっても考えが纏まらず、クラブも発熱を理由に欠勤してしまった。

家に帰れば体はルーティーンのようにメイクを落としてシャワーを浴び、睡眠の準備をするのだが、頭の中は副社長室でのことでいっぱいだ。

ホテルを辞め、ホステスとして先の見えない人生を送るか?

しかし依舞稀とていつまでも若いわけではない。

自分よりも若く愛らしい新人が入ってくれば、自分のポジションはどんどん端へと追いやられてしまうだろう。

そうすれば収入とて保証できない。

副業可能な再就職先を見つけて転職するか?

それも可能かもしれないが、確実にホテル勤務はできないだろう。

夢を諦める事もできるが、長い自分の人生を考えると、踏ん切りをつける事ができない。

では……結婚?

仕事は続けられ、借金もなくなり、あの遥翔と夫婦になる。

確かに遥翔はビジュアル的に完璧である。

何不自由なく過ごせるかもしれない。

しかしそこに愛は産まれるのだろうか。

金銭面が解決したとしても、一生愛されることのない妻になるかも知れないのだ。

「……私の人生、本当にそれでいいの?」

答えのない疑問を、依舞稀は一睡もせずに朝まで考え込んでいた。

< 41 / 230 >

この作品をシェア

pagetop