嘘恋のち真実愛
わけあり同居
重い足取りは夜まで続く。『Kenアイランド』のドアも重たく、転がす荷物も重たい、私の姿を見るなり、店長は驚きの声をあげた。


「いらっしゃい……わっ! ゆりかちゃん、どうしたの? こんな夜にそんな大荷物を持って」

「あー、今から行くところがあってね」


苦笑しながら、持ってきたキャリーバッグを店内へと転がす。まだ部長は来ていなく、店内も空いていた。

だからなのか、店長がいつもよりもゆったりとした口調で話す。


「今から? あーまさかー、海外にでも行くの?」

「えっ? 違う、違う! ちょっと近所にね……あ……」


説明している途中で部長が店に入ってきた。店長も私と同じように部長の姿を確認してから、また私の荷物を見る。


「ほー、なるほどー。それは、わけありの荷物ということか」

「は? わけあり?」


どういう推測をしたのかわからないけど、おそらく良い推測ではないだろう。だからといって、ただ一緒に暮らすだけと反論は出来ない。

カウンター席で、部長と並んで座り、チキンステーキセットをオーダーした。部長も同じものを頼む。
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