インスピレーションを信じて
9

なんだか 落ち着かない食事を終えて。

店を出ると 務は 私の肩を 抱き寄せる。

「せっかくの焼肉だったのに。」

照れ隠しに 私は 務を見上げて 頬を膨らます。


「また明日も 食べちゃう?」

務は 私に顔をくっ付けて 内緒話しみたいに 言う。

驚いた顔で 務を見つめると

「大丈夫。俺 意外と 給料もらってるんだよ。」

と務は 笑った。

「だからって 無駄遣いは ダメです。」

私が 口を尖らせると 務は 嬉しそうに笑って

「そういうのがいい。レーナ どんどん 俺に 言って。」

と言った。


私は 胸が熱くなって また涙汲んでしまう。


「俺さ。レーナとなら 空気みたいに 自然に 一緒にいられるんだ。全然 無理しなくて。」

人の波に合わせて 少し 足早に歩きながら 務は言う。

「私は 無理。」

幸せ過ぎて 私は 意地悪を言う。

「えっ?」

と言って 務は 私の顔を覗く。

「だって。務と居ると ドキドキしちゃうんだもん。」


私って ツンデレだったの?

違うよ。正直な気持ち。


人混みじゃなかったら 務に抱き付きたいくらい。




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