インスピレーションを信じて
10

「もうすぐ クリスマスだね。」

賑やかな街は 金曜の昼間なのに

忙しなく 混雑していた。


「私 偶然 イヴが公休だよ?」

「マジで? どっかに 泊まる?」

「ダーメ。務。ちゃんと仕事して。」

「えー。初めてのクリスマスだよ? いいじゃん。一緒にいたいよ。」


しっかり者の振りをしたけど。

一緒にいたいのは 私だって 同じだよ。


「じゃあ、私が 務んちの方に 行こうか?」

「だって。次の日 俺 仕事でしょ?」

一緒に 朝を迎えるだけじゃ 寂しいけど。

そんなに 務の仕事を 犠牲にできない。


「私 仕事 辞めちゃおうかな。」

不意に思った気持ちだけど。

言葉にした途端に 私の心は 決まってしまう。


「ごめん。俺 ちゃんと仕事するから。」

務は 驚いた顔で 私を見て すまなそうに言う。


「私 務のお嫁さんになるなら すれ違いの仕事していても 仕方ないよね。」


私の言葉に 務は 温かい目をする。


「レーナ。俺のお嫁さんになってくれるの?」


私は 甘く頷いて

「もう 離れるのヤダもん。」

と言ってしまう。


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