セレナーデ ~智之
13

出産予定日の 一日前。


朝起きた麻有子は 少し出血をしたと言う。
 

「まだ全然 お腹痛くないけど。そろそろかもしれない。」


不安気に 智之を見つめる麻有子。

いつも通りに 朝食を食べた後で 
 

「お袋の所に居てね。何かあったら すぐに 連絡するんだよ。」


智之が出勤する時に 入院の準備を 麻有子に持たせて タクシーに乗せる。


二日前の健診で いつ産まれても大丈夫と 言われていたから。
 

「多分 今日は 産まれないと思うけど。まだお腹 全然痛くないし。」

と麻有子は ゆったり構えていた。


「一人の時 何かあったら 困るでしょう。」

と言うと 素直に頷いた。


麻有子も 初めての出産で 心細かったから。
 




< 52 / 91 >

この作品をシェア

pagetop