2度目の人生で世界を救おうとする話。前編

4.自分との向き合い方






side紅


冷たくて硬い。
意識を取り戻した時、まず感じたことはそれだった。

ゆっくりと瞳を開けて今の状況をとりあえず確認する。

私はどうやらどこかの廃ビルの中の床に乱雑に投げられていたようだった。
体に大きな傷などは見当たらず、特に痛みもない。
まだ私は私を連れ去った妖に何もされていないようだ。


「…」


状況は意識を失ってしまったこと以外ほぼ前回と同じ。
前回も確か私だけ連れ去られて、それを追うように琥珀が後から合流する形だった。まあ、その時は琥珀が来る前にさっさと1人で妖を退治したのだけれど。

今回は意識を失った上に〝これ〟がある。

体を起こすと同時に私の首に付けられた首輪の鎖がジャラリと音を出す。

最悪だし、悪趣味だ。


コイツは私が起きるのを今か今かとずっと待っていたようだ。


「やあ、随分早いお目覚めだね?」


私の目の前で男の姿をした妖が不気味に笑う。

妖は基本人間と同じような姿をしている。強ければ強い程妖は上手く人間に擬態し、人間たちの中に紛れ、そして残念だが、ごく一部を除き、人間に様々な理由で害を及ぼす。

この妖は間違いなく人間に害を及ぼす部類。


「…ここはどこ。アナタは誰」


大体のことは前回のこともあり把握できていたが、相手を油断させる為に怯えたフリをして妖を見つめる。










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