2度目の人生で世界を救おうとする話。前編




「泣かないで、姉さん」


そんな朱に見惚れていると、朱はチュッと音を立てて私の目尻にキスをしてきた。
それはまるで流れ出る涙を吸い取るように。

そう涙を吸い取るように、だ。
一滴も残らずに。


「ちょ、ちょっと、しゅ、朱っ」


チュ、チュ、チュ、と目尻や頬にキスをし続ける朱に思わずたじたじになる。
そして朱の涙吸引キスが終わる頃にはさすがに私の涙も枯れていた。


「朱!いきなりどうしたの!?」


やっと終わったキスに顔を真っ赤にさせながら朱に真相を問いただす。


「え?姉さんが泣いてたから涙拭いてただけだよ?今、手空いてなかったし…。姉さんこそどうしたの?こんなことで取り乱して」


するとそんな私の様子を心底不思議そうに朱は答えた。


そうだったー!久しぶりすぎて忘れてたけど朱はいろいろ距離感とかバグってる子だったー!

姉弟だからってご飯食べさせ合いっこしたがるし、手を繋ぎたがるし、一緒に寝たがるし!
あげ出したらキリがないほどとりあえず距離感が近いのよ、この子!それが可愛いポイントでもあるけどね!

前は弟だと思ってたし、慣れてたから何とも思ってなかったけど今は本当の弟じゃないことも知ってるし、何より慣れてないから普通に心臓に悪いでっす!


「そ、そうだね…。ごめん」


それでも今の朱との関係で取り乱すことはおかしいことなのでとりあえず私は朱に謝った。







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