2度目の人生で世界を救おうとする話。前編

2.年に一度の夏風邪







side紅




「…さん!ね…さん!」


ぼんやりと朱の焦ったような声が聞こえる。
随分と遠いところから聞こえるその声は回数を重ねていく内にどんどんと鮮明なものへと変化していった。


「姉さん!姉さん!」

「…」


朱に必死に呼ばれて目を開けば、目の前には私を呼ぶ声と同様にひどく焦った様子の朱がいた。

どのくらい寝ていたのかわからないが部屋の電気が付けられている辺りで今が夜だということはわかる。


「しゅ、う」


朱の名前を呼ぼうとしたが思っていた以上に声が出ない。

体も未だに重いし、頭も痛い。
それプラス寝ている間に随分と汗をかいたようで体はベタついているし、寒気もする。


最悪のコンディションだ。


「…よかった。意識はあるね。もしかしていつものやつ?」


そんな私を朱は一応安堵した様子で見つめ、私にそう質問した。

我ながらよくできた弟だと思う。
正解だよ、朱。


「…うん」


私は朱の鋭い観察眼に感心しながらも力なく返事をした。

第一発見者が朱でよかった。
朱ならこの様子だと大体私の今の現状を把握しているようだし、任せられる。

長年付き合いがある弟、それが朱だ。
血は繋がっていないが、それでもやはり家族だ。








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