2度目の人生で世界を救おうとする話。前編





「君たちは四神の家の一族の末裔。能力者の名家であり、トップである君たちの実力はその家の名に恥じない実力だ。そして一年後、姫巫女が現れた時、姫巫女を守る役目を負う守護者は君たちしかいないのは暗黙の了解であり、周知されていることだね」


前回とおそらく全く同じことを話す麟太朗様。
一言一句覚えている訳ではないので正確に一緒だと言い切れないが聞き覚えしかない台詞だった。


四神とは、四季家の次に君臨する能力者の名家の総称のこと。
私が属する葉月家が朱雀を司る火、武の冬麻家が青龍を司る水、蒼の春名家が白虎を司る風、琥珀の桔梗家が玄武を司る雷で、それぞれの火、水、風、雷の能力者の起源と言われており、それぞれのトップを務めている。

能力者と呼ばれる者はこの4つのどれかを自在に操れる力がある者のことを言う。
1人に付き1つの力しか本来なら使えないが、四季家だけ全ての力を操ることができる。

…いわゆる、チートである。



四神の末裔であり、その家の名に恥じない実力を持つ私たち。
姫巫女の守護者として選ばれるのは当然だった。
だが…



「守護者が正式に発表されるのは生徒のモチベーションを保つ為にも今年の秋だ。周知のこととは言え、実力をはっきり見せない内に発表してしまうといろいろ厄介だからね」



ははっ、と麟太朗様がおかしそうに笑う。その笑顔は私たち以外が守護者なんてあり得ないと言っているようだった。
実際そうだし、そうなる訳だが。



「蒼と琥珀は昨年一年間で十分周りに実力を認めさせて来ただろう。だが、紅と武はやっと高等部に入ってこれから実戦をを磨く段階。だから…」

「次の実戦で周りを黙らせる…、認めざるを得ない実力を披露したらいいんですね」



麟太朗様が言おうとしていたことを察して武が麟太朗様の台詞を奪う形で言葉を吐いた。
いつものように淡々と不機嫌に見える無表情で。

そんな武を見て麟太朗様は「話が早くて助かるよ」と満足そうに笑った。








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