浅葱色の約束。

土方side




「お願いします…!!妻を休ませてあげてください…!!」



頭を下げた一般隊士は、女を守るように男として俺を見つめた。

その後ろにいる女は腹の膨れた妊婦。


目の前の命は2人だけでなく3人ある。



「ここは女人禁制のはずだ。そこんとこわかってんのか」


「わかってます…!でも、どうか腹の子だけでも助けてください…!!」



自分の命はもういいから切腹でも何でも受ける、どうか子供だけは助けてくれ───なんざ。


女はどうするんだと聞いても、既に男は現実を見れる目は持ってはいなかった。


わざわざ会津から京にいる夫に会いに来たという妻は、でかい腹を拵(こしら)えて呼吸を上下に動かしている。

たまたま屯所付近で再会していた途中、産気づいたという。



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