クローバー2~愛情~
バースデーイブ
【美穂へ】
今日は、授業、きつかった~。でも、美穂のくれたキーホルダーを見るたびに、元気になってきたよ。明日は美穂、早番?  カズキ

ピロリン、とメール着信音が鳴る。カズキくんからだ。美穂はおもわず、顔がほころぶ。そっけないくらいの文章だけど、気持ちが伝わってくる。キーホルダー、大切にしてくれてるんだ、と美穂は和希がくれたネックレスに触れる。トップが四つ葉のクローバーなのが、触っただけで分かる。

【カズキくん】
カズキくん、授業、お疲れさま~。私もネックレス、肌身離さずしてるよ。うん、明日は早番。カズキくん、バイトは何時まで?

和希はSienaという宝石店で火曜・木曜・土曜とバイトしている。最初、Sienaと言う名前を聞いたとき、元カレとの別れの店を思い出したな、と懐かしく思う。

【4時半までだから】
CLOVERまで迎えに行こうか?

CLOVER、と言うのは私の職場、カフェ併設のケーキ店。店長がステキな人で・・・でも・・・カズキくんの元カノってのがひっかっかってない、と言えば嘘になる。でも、坂上店長の人柄には私も惚れている。

【来てくれるの?】
ありがとう。じゃあ、今日は、カズキくんの家でご馳走を作ろうか。

【そのあとも・・・】
OK、だよね?

うわっ、それって、それって、そういう意味だよね?つきあって間もないせいか、私の性格なのか、そういう台詞には赤くなる。

【そんなこと聞かないで】
当たり前でしょう?・・・OKだよ。

【やったぁ♪】
楽しみだな。美穂に会えるの。

【私も】
和希くんに会えるの楽しみ。

【じゃあ】
明日な。5時過ぎに行けるはず。おやすみ。

【待ってる】
明日ね。おやすみ。

肌身離さず、とは言え、お風呂や寝るときは外すクローバーのネックレス。カズキくんが、初めてのカジュアルアクセサリーの課題でAAAの評価をもらった貴重なものだ。きれいに輝くベネチアンガラスのクローバーをトップにしたネックレスを掌に乗せ、箱に収める。幸せな気持ちで、お風呂に入り、ベッドで眠った。夢で逢えますように。
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