あやかしの集う夢の中で
如月舞の夢の中へ
「えっ、マジ?

ここが舞ちゃんの家なの?」



桜介は舞の住む立派なお屋敷を見上げながら、度肝を抜かれてつぶやいていた。



舞がお嬢様だということは知っていたが、まさかここまでのお嬢様だったとは……。



呆然とする桜介の様子を見て、愛理が桜介に話しかけたけど



「桜介は舞ちゃんの家に来るのが初めてだっけ?」



「初めてだよ……。

舞ちゃんって、もしかして、オレたちとは別世界の住人なのか?」



「大げさ過ぎるよ。

たしかに舞ちゃんはすごいお屋敷に住んでいて、あり得ないくらいのお嬢様だけど、私たちと同じオカルト部の仲間だよ。

私たちの友達だよ」



「カノンも愛理ちゃんの意見に賛成ですよ。

舞ちゃんがどんなにすごいお嬢様でも、舞ちゃんはオカルト部の仲間で、友達です!」



「ああ、そうだな。

取り乱したオレが悪かった。

小市民の悪い癖だ」



桜介はそう言うと、気を取り直して大きく息を吐き、自分のやるべきことを再確認していた。



今から自分がやるべきこと。

それは舞の体調不良の原因が夢妖怪の仕業かを見極め、夢妖怪が舞の健康をむしばんでいるとしたら、夢妖怪を退治すること。



そしてそれにはイケメンの転校生、風間時宗の力が必要だ。



完璧過ぎて、どうも好きになれないヤツだけど、今はそんなことを言ってはいられない。



大切な仲間の舞ちゃんを救うためだから。



「インターフォンを鳴らすよ」



愛理がそう言って、お屋敷の門のところにあるインターフォンを鳴らした。



するとすぐにインターフォンから声が聞こえてきた。
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