あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎

五、学食で




ある昼下がり、史緒里は晴紀に連れられ、
大学の学食でランチしていた。

「ここのチキン南蛮ね、結構人気なんだよ」
「うん、美味しいです」

すると、晴紀のもとに、数人の男女が寄ってきて口々に言った。

「あれー、宮崎さん、見ないと思ったら
 先に学食来てたんすね」
「ホンマやー、宮崎さん一人で可哀想やから
 誘ってあげよう思うてたのにー」
「宮崎さん、一人で抜け駆けしてチキン南蛮
 食べるの、ズルイじゃないっすか」

「宮崎さん、今日、メガネ六角形っすね!」
「わー、蜂の巣や!蜂飛んでくるぞー」

「わー、うっさいな! 散れ、散れ!
 いいじゃないか、六角形!
 ハニカム構造は、衝撃に強いんだぞ」

晴紀が追い払うと、      
「ひっどーい」と言いながら後輩達は去って行った。

晴紀は、元の顔に戻ると
「いやー、あいつら研究室の学部生なんだけど、
僕、もう研究室に同期いないから、
みんな誘ってくれてるのか、たかってるのか…」
ハハっと笑って弁解した。

史緒里は、晴紀が後輩に慕われる
人柄の良さを見た気がした。


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