あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎

五、打ち解けてゆく2人



地元の名所を観光し終え、
茉莉奈は同僚たちとよく行く
海辺のカフェに航を連れて行った。

「素敵な店だね」
「料理も美味しいんですよ。
 ラザニアがオススメです」

一日の観光で幾分か打ち解けた2人だった。

「こっちの海って、穏やかで良いよね。
 海面がキラキラしてる」
「そうですね、
 って他の海をよく知らないんですけど」

「癒されるなー」
「いつでもお連れしますよ」

航は穏やかに海を眺めていた。

翌日、遅番で出勤するついでに、
講演に向かう航と、
それを聴講するという啓輔を
会場の音楽大学まで送った。

1週間ほど茉莉奈の実家に滞在した航は
数都市、同じように講演に廻ると、
現在の留学先のオーストリアへと帰った。

茉莉奈にも、美しいウィーンの街並みの
写真とともにお礼のメッセージが届いた。

〈ぜひ遊びに来て下さい。
 今度は僕がご案内します〉

そうは言っても、
簡単に行けるトコじゃないですって、
とか茉莉奈は思っていた。


< 58 / 95 >

この作品をシェア

pagetop