ウブで不器用なお殿様と天然くノ一の物語
兄の過去と兄嫁のたくらみ
「ねぇ、今週の木曜日に灯里ちゃんと焼肉に行く約束したわよ。」

随分と早い段取りだな。
まあ、麗らしい。
仕事が早いからな。

「わかった。彬良も来るだろう。
アイツ、今日が当直だから、木曜日は空いてるはずだ。予約しとくよ。」

「あ、5名だから!」

ん?もう1人誰だ?

「灯里ちゃんの弟さんも呼んだの。
晩御飯、1人になっちゃうみたいだから。
いいでしょう?」

「…あぁ、もちろん。
じゃあ19時に5名でいいか?」

「うん!ありがとう。
じゃあ私もお風呂行ってくるね。」

俺はあまり風呂に浸からないシャワー派だが、妊娠中の麗はゆっくり風呂に浸かる。
だから、いつも風呂は後がいいと言う。

灯里ちゃんから話が行ってそうだけど、念のためLINEで知らせておこう。

俺は焼肉屋の予約をした後、彬良にLINEを送った。
♪ピコン

『了解』

素っ気ないな。
まあ、男兄弟なんてこんなものだ。
特にアイツは無愛想で、昔からこんな感じだった。兄弟でも、性格は全く違う。

俺は要領の良さだけで生きてきたようなもんだからな。
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