隣のキケンな王子様!
*惨めにさせないで
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床にへたり込んだままのあたし。
立ったまま動かない郁己くん。
お互い、言葉を発することもなく、しばらくの時間が過ぎた。
「……大丈夫か?」
郁己くんが小さな声を出したとき、
その視線はあたしの腕にくっきりと残された赤いあざに注がれていた。
「……うん」
うなずいたけれど、本当は、大丈夫なんかじゃなかった。
まだ、微かに震えてる。
すごく……怖かった。
襲われたことも、男の人同士の緊迫したやりとりも。