隣のキケンな王子様!

*side―YURI



side--YURI
----------☆





――1年後。夏休み。





「あ~つ~い~」



エアコンが壊れてしまった部屋で、あたしはひたすら扇風機と抱き合っていた。



目いっぱい顔を近づけたところで、冷たい風が出てくるわけでもないし、



開け放っているベランダの窓からも、温風しか入ってこない。




「ラブラブだなぁ。扇風機と」




いつの間にそこにいたのか、


ベランダの柵に寄りかかって腕組をしているお隣さんは、あたしの姿を見て笑ってた。



習慣化したその立ち姿には、もう、ほとんどびっくりしませんから。



< 402 / 458 >

この作品をシェア

pagetop