寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~
「興味があるのは君だけだから」




夕方七時、晴久は仕事を終えた。

本当はもっと早く終えて雪乃と会う約束をとりつけるつもりでいたが、プレゼン指導を頼んできた部下を断るわけにもいかず。結局、この時間まで残業。

急いだがもう雪乃は帰っているだろうとあきらめ、駅へと向かう。
会社を出てすぐに眼鏡とマスクをつけ、誰にも話しかけられないよう防御した。

家に帰る頃には八時近くなっているだろう。
しばらく悩んだ晴久は、駅のホームへは行かず、改札の外の掲示板の前で立ち止まって、携帯電話を取り出した。

(今日中に連絡しないとダメだ)

雪乃に謝罪をしたくてメッセージ画面を出すと、履歴には自分が送った素っ気ないメッセージが映し出される。
改めて読めば読むほど後悔し、一刻も早く謝罪をしたくてたまらなくなった。
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