氷の美女と冷血王子
ご機嫌斜めな臨時秘書
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
いつものように秘書室の前を通り執務室へと向かう。
世間が浮かれていた5月の大型連休がやっと終わり、通常運転再開の月曜日。
俺は別の意味でソワソワしていた。
トントン。
「失礼します」
入ってきたのは社長秘書兼秘書課長の徹。
そして、その後ろから
「失礼します」
少し緊張気味に入って来た女性。
おお、やっと来たか。
徹に連れてきてくれと頼んでから半月。
なかなかいい返事がもらえなくて心配していた。
「本日付で専務秘書に採用しました青井麗子さんです」
今さらとも思える挨拶を淡々とこなす徹。
「青井麗子です。よろしくお願いいたします」
綺麗な所作で頭を下げる彼女。
「こちらこそ、よろしく」
動揺がバレないように、俺はできるだけ完結に挨拶を返した。
「では、青井さんは専務室に続くこちらの部屋で勤務をお願いします」
「はい」
「基本的な仕事は、専務のスケジュール管理と、電話や来客の対応です。しばらくは今まで通り秘書課の人間が業務を行いながら引き継ぎをしていきますので、とりあえず今日はここにいてください」
「はあ」
「もちろん、専務から指示があればそれを行ってください」
「はい」
細々と注意事項を並べる徹の話に、頷きながらメモをとる彼女。
俺はその様子を眺めていた。
初めてスーツ姿の彼女を見た。
紺色のシンプルなスーツで、一見地味にも見える。
ウエーブがかかった髪も後ろで一つにくくられて、化粧もナチュラル。
きっと、できるだけ目立たないようにと気を使ったんだろうが、素材の良さが引き立つ結果となっている。
「では専務、後はお願いします」
30分ほどかけて説明をしていた徹が、声をかけた。
「ああ、ありがとう」
右手を挙げて徹を見送る。
こうして、俺と彼女の2人だけが部屋に残った。
「ああ、おはよう」
いつものように秘書室の前を通り執務室へと向かう。
世間が浮かれていた5月の大型連休がやっと終わり、通常運転再開の月曜日。
俺は別の意味でソワソワしていた。
トントン。
「失礼します」
入ってきたのは社長秘書兼秘書課長の徹。
そして、その後ろから
「失礼します」
少し緊張気味に入って来た女性。
おお、やっと来たか。
徹に連れてきてくれと頼んでから半月。
なかなかいい返事がもらえなくて心配していた。
「本日付で専務秘書に採用しました青井麗子さんです」
今さらとも思える挨拶を淡々とこなす徹。
「青井麗子です。よろしくお願いいたします」
綺麗な所作で頭を下げる彼女。
「こちらこそ、よろしく」
動揺がバレないように、俺はできるだけ完結に挨拶を返した。
「では、青井さんは専務室に続くこちらの部屋で勤務をお願いします」
「はい」
「基本的な仕事は、専務のスケジュール管理と、電話や来客の対応です。しばらくは今まで通り秘書課の人間が業務を行いながら引き継ぎをしていきますので、とりあえず今日はここにいてください」
「はあ」
「もちろん、専務から指示があればそれを行ってください」
「はい」
細々と注意事項を並べる徹の話に、頷きながらメモをとる彼女。
俺はその様子を眺めていた。
初めてスーツ姿の彼女を見た。
紺色のシンプルなスーツで、一見地味にも見える。
ウエーブがかかった髪も後ろで一つにくくられて、化粧もナチュラル。
きっと、できるだけ目立たないようにと気を使ったんだろうが、素材の良さが引き立つ結果となっている。
「では専務、後はお願いします」
30分ほどかけて説明をしていた徹が、声をかけた。
「ああ、ありがとう」
右手を挙げて徹を見送る。
こうして、俺と彼女の2人だけが部屋に残った。