愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「詩音、ベッドいこ。」

「だーめ。」

「え、ケチ。」

 私たちはそんなことで笑い合いながら、リップ音を立てキスを交わした。この時が一番幸せだと感じる。愛されていると感じる。

 私は後ろを振り返り、ジッと見上げながら彼の前髪を指でスッとなぞった。


「なに?」

「ん?なんでもない。」

 いつも余裕そうに仕事をこなす彼が、私の前でしか見せない表情。なんの警戒心もない猫のような、優しい笑顔がたまらなく好き。

 彼ににっこりと見つめられながら、撫でられる頭に神経が集中した。


 すると、彼は私の両脇に手を入れてゆっくり持ち上げると、キッチン台の上に座らせた。

 キリッとした瞳が優しく私を見つめながら、だんだんと近づいてきてまた唇が重なった。何度も何度も重なる唇に、私は耐えきれず無理やりに引き離した。


「んっっ.....、もう、こら、遅れちゃう。」

「詩音は真面目だなあ。」

 付き合って2年経っても、私たちの関係は付き合い始めた当初と何も変わっていなかった。そして、これからも、変わらないと信じていた。












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