愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「.....でも、きっと一番心配してたのは、須崎くんかも。」

 すると、一瞬表情が暗くなったのを、私は見逃さなかった。

「南......?」

 伏し目がちにボソッと言う南は、とても切なそうに見えた。


「本当に、結婚するの?」

 しばらく無言で歩いていると、次に返ってきた言葉は、唐突な質問だった。思わず動揺し、私は言葉を失う。

「本当に、高瀬さんでいいの?」

 そして、目も合わせずにそう続けてくる。こうも必死になる姿を、今まで見たことがなく、なんだか別人を相手にしているようだった。


「どういう意味?」

 私は眉をひそめ、恐る恐るそう聞くと、南が突然パッとこちらに顔を向けた。

「だって、須崎くんはっ.....」

 そう言いかけた瞬間、真っ直ぐ視線がぶつかった。しかし、複雑そうな顔で目を逸らす彼女は、その先に続く言葉を言わずに黙り込む。

「ごめん、なんでもない。」


 それっきり黙り込んでしまった。私には何がなんだか分からず、気になって聞き返そうとした。


「詩音ー!南ー!何してんの、早くー!」

 しかし、遠くの方から聞こえてきた、ひな子の大きな声に遮られ、タイミングを失った。

「うーん、今行くー!」

 そう返事をすると、モヤモヤした感情のまま、仕方なく今はひな子たちの元へと合流する。


 でも、あの言葉の続きは何だったんだろう。何が言いたかったんだろう。

 気になってしまい、今はどんな会話も入ってこない。いろんな憶測が頭をぐるぐると巡ったものの、結局あの言葉の続きは分からずじまいだった。










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