死んでもあなたに愛されたい
ワケありのワケ



イライラしている男に、ひと言。




「――え、厨二病……?」




あ。しまった。



はっと口をつぐんでも、すでに遅い。

男の鬼のような形相に、図星と察する。



いや、だってさ。


この書斎に呼ばれて、ちょっと話を聞いて。

またかーって、めんどうな気持ちのときは、たいてい上の空。



そこで、ふと。

本棚を見てみたら、タイミングよく本が落ち、その奥からもう一列、本が並んでいるのを発見してしまった。



棚の奥に隠すように置かれていた本たちは、



『超能力はきみの中に!』

『ファンタジーガイドブック』

『異能を覚醒する方法』



と、まあ、男の趣味に偏っていて。

思わず、ぽろっと、言ってしまった。



目の前の男――あたしと血のつながった実の父親が、まさかそういう趣味だったとは。



うん、いいと思うよ? 趣味は人それぞれだし。

好きなものに年齢は関係ないもんね。


ただ、ひとつだけ。




「だから父さん、こんなに妹に固執してたんだ。へぇー、そっかー」


「あ、あれは、ウチに有益になると思ってだな……!」


「どっちにしろ、父さんの都合で、妹を振り回すのはちがくない?」




厨二病を暴いてしまったついでに、この際ぜんぶ言ってやる。


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