死んでもあなたに愛されたい

愛心




――位置について。



風が、凪ぐ。

踊り狂っていた土砂は、次第に地面に還っていく。人々に気持ちわるい感触を残して。



――よーい。



地響きはおさまった。

振動の名残にさいなまれ、誰一人として頭が働いていない。武器までもうつむいている。



混沌。

安堵。

当惑。


得も言われぬ閑静さで、ど忘れしてるのかもしれないけれど。




――ドン!



「戦いはすでに始まってるよ」


「え」




無精ひげの男は、目を瞠った。


ようやっと不吉な現象が落ち着き、立ち上がったばかりだ。

砂嵐でやられた目をこすり、おそるおそる開いたら。



すぐ目の前に、色のない三白眼。




「ッヒィィィィィ!?!?」


「おどろかせちゃった?」




急に目力ドアップは、さすがにインパクト強すぎ?


でも、まあ、いいよね別に。

油断してたあんたがわるい。


わるい子にはおしおきしないと!




「油断たいてーーーきっ!」


「アアアアア゛!!」




必殺、目つぶし!

かーらーのー、急所アタック!


ピストルも没収!


よい子は真似しちゃいけないぞ!



「ん? ん!?」

「い、今、何が起こった!?」

「一人やられてる!?」

「なっ、おまえ、よくも……!」



事態を把握し始めた敵たちが、一斉にあたしをにらんでくる。


あわてて銃をかまえた一人に、あたしも没収した銃をかまえ返した。




「!? や、や、殺り合う気かよ……」


「それもいいけど、あっちも気にしたら?」


「は?」



< 273 / 329 >

この作品をシェア

pagetop