死んでもあなたに愛されたい

哀慕





……思い描いていた学校生活じゃなかった。




2学期初日。
そして、あたしの記念すべき登校初日。

ハイライトはこちら。



先生の授業はわかりやすかった。

おじ様お手製のお弁当を、影野さんたちとおいしく食べた。


かたくなに目を合わせないあたしを、クラスメイトはおとなしい子だと思い、あたしのペースに合わせて寄り添ってくれた。

先生にはおびえられた。父がすみません、と伝えると、よけいにビビられた。



……おわかりいただけただろうか。


そう!

魁運がどこにもいないのです!



あたしは魁運とも青春したい。


授業でわからないところを教えたり教えられたり。

お弁当のおかずを、あーん、ってしたり。

放課後はデートしたり。


それらがひとつもできない。



魁運はホームルームや授業中以外は、ほとんど教室にいない。

授業が終わると、わずかな休憩時間でもどこかへ行ってしまう。


彼がいなくなると、クラスメイトはようやっと緊迫感から解放され、明るさを取り戻す。



異常だと思った。

あたしが言えたことではないが。



もう一度言おう。




「思い描いてた学校生活じゃなーい!」




ずっとモヤモヤしてる。


外で大声を出してみてもちっともすっきりしなかった。

ただ通行人に不審な目でじろじろ見られただけ。


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