それは日葵が妊娠9ヶ月を迎えた4月のことだった。

陽生はsunrise & lifeコンサルタント゛という会社を設立し運営している。

この会社は、広告やホームページの構成といったウェブデザインなどの受注と、経営に関するノウハウの伝授・相談を受けるコンサルタント業務を行っている。

かつては外食産業の老舗と言われたHashimitsuで、営業課長としての手腕をふるってきた陽生は、立ち上げたばかりのこの会社を順調に拡大していた。

株式会社として利益を伸ばしているのだが、株を発行しているからには株主総会を開かなければならない。

株主総会は3月の決算から3ヶ月以内に取り行わなけばならない。

ギリギリまで先伸ばす企業も多いため、株主総会は6月末に集中することが多いが、6月では日葵が出産後となるため、陽生にとっては非常に都合が悪い。

『絶対に株主総会は4月中に終わらせる!』

陽生はそう断言して、誰の意見も伺うことなくゴリ押しにより日程が決まったのだ。

迷惑を被るのはもちろん社員。

少数精鋭の社員の中には、日葵の先輩である花菱蘭や三石悠馬もいる。

日葵は言い出したら聞かない陽生に呆れながらも説得できず、先輩達に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

本来なら株主総会まで3ヶ月の猶予があるのに、陽生が何故急いで4月に強行しようというのか?

ただ一重に、日葵と離れず一緒に子育てしたいがためである。