「まあ、まあ、あなたが美暖ちゃんね。はじめまして。ひいおばあちゃんの日南子です。よろしくね」

皺クチャの手でベッドに寝かされている美暖の手を握る日南子は満面の笑みだ。

その横で珍しいものを見るかのような顔で美暖を見ていた日葵の祖父・冬彦は、そんな日南子を見ることのほうが嬉しそうだ。

「そうだ、陽生さん。今日はあなたの好きなフレンチトーストを作ろうと材料を持ってきたのよ。日葵ちゃんと一緒に食べてくださる?」

「それなら私はコーヒーをいれよう」

可愛い曾孫を堪能したあと、日葵の祖父母は揃ってキッチンへ向かった。

「おばあさま、おじいさまのフレンチトーストとコーヒーを自宅で頂けるなんて光栄です。是非、御相伴にあずからせてください」

陽生の言葉に頬を染めて微笑む日南子はとても可愛く見えた。

いつまで経っても女心は女子なのである。

「日葵、体調はどうだ?自宅分娩になっていたなんてさぞかし慌てただろう?」

父の言葉に、日葵は苦笑して

「そうだね。喉元過ぎて熱さは忘れちゃったけど、本当に焦った。でもみんなに助けてもらって何事もなく出産できたの。感謝しなくちゃ」

「そうよ、お産代も安く浮いたしラッキーって思わなきゃ」

この無駄に楽観的で前向きなところが、夏子が日葵の母たる所以(ゆえん)といえよう。