策士な課長と秘めてる彼女 ~出産編・育児編~
「陽生くんが在宅ワークをしてくれるお陰で、日葵の体に無理がいかずに済んでいる。本当に感謝でいっぱいだよ。陽生くん、ありがとう」

「本当にできた夫よね。羨ましいわ」

日葵の父・大和も、母・夏子も陽生を大絶賛だ。

陽生は日葵の家族の前では常に紳士で冷静を装っている。

日葵への過度の執着や、他人への嫉妬は極力隠しているので、周知の仲である会社の同僚達にどれだけ迷惑をかけているか、日葵の両親は知らないのだ。

「いえ、僕も愛する妻と娘のそばに四六時中いられてこんな幸せはありません。本当は仕事なんてしたくないくらいです」

「まあまあ、お世辞でもそう言ってもらえて日葵も美暖ちゃんも幸せねえ」

゛決してお世辞でも、冗談でもない゛

陽生はいつでも全力投球、真剣なのである。

本音を臆面なくサラリと言ってのけるところが陽生の凄いところなのだが、その凄さを両親に語って聞かせるには時間がとても足りない。

しかも、陽生が真剣に語り出したらかなり面倒臭いので

「そうだねぇ」

と日葵は笑ってスルーすることを決めた。
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