「甘やかしたら美暖のためにならない」

陽生パパの言葉にとても同意できないと日葵ママは、唇を尖らせて

「じゃあ、もう、私のことも金輪際甘やかさないでね?」

と、ここぞとばかりにこれまでの不満をねじ込んできた。

「それはできない相談だな」

可笑しそうに日葵ママの頭を撫でる陽生パパ。

じゃれあっているとしか思えない両親の痴話喧嘩に、美暖はため息をついた。

二人の間にいたら、美暖はいつだって主役にはなれない。

「まあ、待て。何も俺は、美暖に戦えと言っているわけじゃない」

「「それはどういう・・・」」

陽生の不可解な言動に、日葵だけでなく、真佐子も首をかしげている。

もちろん、美暖もだ。

「とりあえず16時までは休戦だ。それまで美暖は宿題でもしてろ」

16時?

何があるんだろう・・・?

どうやら、陽生パパは全面的に美暖を見捨てているわけではないらしい。

「美暖、私が宿題教えてあげようか?」

「いいの?」

「もちろん。だからその合間に、今日のこと詳しく教えて?ね?」

美暖は、日葵に優しく抱き締められ嬉しいような恥ずかしいのような気持ちを抱きながらも、伺うように陽生パパを見上げた。

いつもなら日葵ママを取り返そうと、躍起になる陽生パパだが、何故か今日は気を遣ってくれているようにも見えた。

珍しいこともあるものである。