「何だ、自作自演だったのか・・・」

「玲音、どういうつもりなの」

呆れ顔の陽生の淡々とした声と、怒りに満ち溢れた蘭の顔と声が対照的で面白い。

「僕が盗ったんじゃないよ。もちろん、取り返したんだ」

朝、校門で数人の同級生に絡まれ、美暖と引き離された玲音は、二時間目の休み時間の時に教室の隅でかたまって話をしている女子の話に聞き耳を立てていた。

『ねえ、靴を隠しちゃえばいいんじゃないかな?それなら戸惑ってる顔も泣きそうな顔もどっちも見れると思うし」

『さすが、悪知恵を働かせたら天下一品ね』

美暖の入学以来、美暖が玲音の幼馴染みだと知れ渡ってから、こうして一部の女子達が美暖のことをいじめようと画策していることを知った。

悪口は言っても、実際に手を出すことはなかったので、半信半疑だったが、玲音は心配になっていた。

1年生は午前中で授業が終わる。

校門を出れば美暖の祖母が迎えに来ているであろうが、靴を盗られたらそこまでたどり着くことはできないではないか。

『狙い目は下校時刻ね。その時間、私達は清掃を終えて移動時間だから、1年生の帰宅時間の10分前に隠しちゃえば気付かれないはずだよ』

そんな女子達の子供じみた意地悪に嫌気がさす。

「へえ、まんまと美暖の靴が盗られるのを見守って、捨てられたところを回収して来たわけだ」

陽生パパの目には怒りが宿っている。

゛日葵ママのことしか目に入っていないのかと思っていたけど、少しは美暖のことも気にしてくれているのかな?゛

美暖は、会話を続ける陽生と玲音を交互に見ては不思議な気持ちになっていた。