「違います」

いつものオドオドした玲音とは雰囲気が全く違う。

言い切る言葉はハッキリとしていて、少し余裕も感じさせた。

「やるなら徹底的に、が真島家の家訓でしょう?」

そう言った玲音の表情には、若干の腹黒さが見え隠れしている。

美暖がこんな表情の玲音を見るのは始めてだった。

「へえ、期待を裏切らない結果を残してくれたんだろうな?」

「お任せを」

そこには、主と従者のような主従関係がいつの間にか成立していた。

「玲音、あんた何やったのよ」

蘭ママも言葉は責めたいような怒り口調ながらも表情は嬉しそう。

「もう二度と、美暖に手を出せないように策を講じてきましたから」

゛美暖゛と呼び捨てにしてニヤリと笑う玲音は、本当にこれまでの玲音と同一人物なのだろうか?

美暖は、何だか陽生パパと同じ香りを醸し出し始めた幼馴染を、恐怖の面持ちで見つめていた。