不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


「でも、案外出れるもんなんだねー。結婚したら、なかなか飲みとか出れないと思ってた」


 凛香は「あ、まだ結婚はしてないか」と笑う。


「うん、まぁね……」


 千晶さんはまだ京都から戻ってきていない。

 あのパーティーから明日で一週間……。

 週明けに桜庭さんが会社を訪ねてきてから、早三日……。

 この一週間が怒涛の展開すぎて、正直まだ頭の整理ができていない。

 それでも寝て起きて食事をして仕事に行っているのだから、なんとか生きるための行動は取れている。

 だけど、心はすっかり枯れて萎んでしまった。

 はっきりとは言葉にはされなかったけど、要するに千晶さんと桜庭さんは結婚を前提にしたお付き合いをしているということ。

 私との許婚の話に縛られて、千晶さんは桜庭さんとの関係を進められないし、公にできないということなんだと思う。


『千晶のことを想うなら、あなたから去ることね。そうすれば、彼も後腐れなく許婚なんて放棄できる』


 そんなことを言われたら、私の取るべき行動はもう決まってしまう。

 何か理由をつけて、千晶さんとの婚姻話を破談にするしかない。


 千晶さんはこれまで、どんな気持ちで私と一緒の時間を過ごしてきたのだろう……?


 火曜日から、そんなことをずっと考えている。

< 114 / 135 >

この作品をシェア

pagetop