陽が出てくると汗ばむほどに気温が上がり、眩しい太陽に目を細める。

 空調対策にと一応持ってきたカーディガンは、日よけ用に使われることとなっていた。

 石畳の道には、ゆらゆらと風にそよぐ柳の木。

 青々とした葉がひしめき合う涼し気なその姿を見つめていると、背後から「つぐみ」と名前を呼ばれた。


「千晶さん」

「待たせたな」

「いえ、全然です。外を見てました。やっぱり京都の街はいいですね」


 初めて『みかど堂』の京都本店に来ている。

 みかど堂のお菓子のファンで、コールセンター業務をしているけれど、この本店に来るのは初めてだった。

 本店は歴史ある当時の外観のままで、日本の美しさと風情を感じさせる。

 一階は店舗、二階には予約制のプライベート茶室があり、海外からのお客様にも非常に喜ばれるという。


「つぐみ、座って」


 戻ってきた千晶さんは、茶室の窓から祇園の街を眺めていた私を呼ぶ。

 その手には漆塗りのトレーがあって、何か和菓子が載っているのが見えた。