整ったマンションの部屋を見に行った、ちょうど一週間後。

 実家には桜坂社長が手配した引っ越し業者が荷物を取りに訪れた。

 言われた通り、最低限の荷物だけをまとめてみると大きな段ボールに四つほどの量となり、頑張れば自分で運べる程度の荷物だった。

 私が仕事に出ていた平日の間、桜坂社長が両親の元を単独で訪れていたことを母から知らされた。

 これから私と一緒になり、生涯を共に生きていくための挨拶だったという。

 母は桜坂社長との約束されていた未来を、改めて良かったと心底安堵したような顔を見せていた。


「幸せになりなさい」

 両親ともに、この許婚が間違いなく私を幸せにしてくれると信じて疑っていなかった。


「ご苦労様でした」


 少ない荷物をマンションの部屋に入れてもらうと、業者の人を見送る。

 四つの段ボールの荷物は、私が自由に使っていいと桜坂社長に言われていた空き部屋に運び入れてもらった。