オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
十数年越しに報われた恋心



翌日の昼前に親睦会はお開きとなり、美紅と一慶はその午後、マンションへ帰ってきた。

思いがけず一慶から気持ちを聞かされた美紅は、それからどんな顔をしたらいいのかわからないでいる。長年言えずにいた自分の気持ちも伝えたから、余計に照れ臭い。


「美紅」
「は、はいっ!」


リビングにふたり分のボストンバッグを置いた一慶にいきなり呼ばれ、不自然な返事になる。
一慶はなにか言いたそうな目をしてクスッと笑った。


「ちょっと会社に行ってくる」
「えっ、これから?」


間もなく午後二時だというのに。
とはいえ、昨日も今日も平日。一般企業なら仕事をしているのが普通である。

一慶はデザイナー兼社長のため比較的自由な勤務スタイルだが、やはり仕事が気になるのだろう。近々直営店のオープンも控えているから余計だ。


「それほど遅くならないと思うから」
「あ、じゃあ、夕食になにか食べたいものはある?」
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