一夜の艶事からお見合い夫婦営みます~極上社長の強引な求婚宣言~
もう二度と離れない


護身術を習おうかなというのが、白鳥の単なる社交辞令ではなかったと知ったのは翌週のことだった。
いつものように道場に入ると、ジャージ姿の白鳥が高木とストレッチをしていたのだ。

思わず目が点になる実花子に気づくと、白鳥が「来てみたよ」と笑う。
てっきりその場の勢いだと思っていたのが実花子の顔に出たようで、白鳥は実花子のほうに足を進めながら鼻の下を擦って照れた。


「この前はごちそうさまでした」
「いや、無理やり付き合せて悪かったね」
「いえ、白鳥さんの奥様にお会いできてうれしかったです」
「これはお恥ずかしい」


かわいらしく片目を瞑る。白鳥にはいろんなおいしい店を教えてもらっているが、この前の店は内緒にしておきたかったのか。一度も話題にあがらない店だった。


「ところで、実花子ちゃん」


不意に白鳥が実花子に顔を近づける。


「じつは、あれからずっと拓海くんの機嫌が悪くて困ってるんだ」

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