――朝、気がついたら紘太朗さんはいなかった。

「紘太朗さん……」

腕の拘束は解いてある。
しかも、パジャマまで着せてくれていた。
なのに彼は――いない。

「なんで……」

誤解したのは仕方ない。
事情があったとはいえ、いない間、毎日他の男と食事に行き、さらにその男と無理矢理にとはいえ、キス、していたのだから。

「私の話、ちゃんと聞いてくださいよ……」

ひたすら乱雑に私をもののように扱い、嫉妬を叩きつける彼が怖かった。
でもそれは、どこか泣いているようで、ずっと胸が痛かったのも事実だ。
一言でいい、愛していると伝えられたらきっと違っていたはず。
けれど彼は、私にそれすら許さなかった。

「紘太朗さん……」

静かな朝に私の嗚咽だけが響く。
かけた電話は繋がらなかったし、LINEも既読にすらならなかった。

重い足を引きずって出社する。