【完】溺愛したいのは、キミだけ。

*夢みたいな一日

そして迎えた土曜日。今日はイベント当日。


私は朝から鏡の前で美羽にメイクを施されていた。


「はい。そのまま正面向いててね」


慣れた手つきでブラシを使い、私の頬にチークをのせる美羽。


普段メイクなんてまったくしないので、なんだかとてもソワソワして落ち着かない。


「……よし、できた! 見てみて~、超可愛い!」


美羽に言われ、鏡に映ったメイクしたての自分の顔を覗き込む。


「わぁ……」


なにこれ。なんか、自分が自分じゃないみたい。


いつもより目が大きく見えるし、血色も良く見えるし、普段のノーメイクよりはずっとマシかもしれない。


メイクの力ってすごいんだなぁ。


髪型も、美羽が長い前髪を軽く内巻きにして横に流してくれて、いつも三つ編みお下げにしてる髪を下ろしたから、なんだか明るく見える。


でもやっぱり、どことなく自信がなくて、自分には似合わないような気もしてしまう。



< 16 / 454 >

この作品をシェア

pagetop