きみは俺だけの彼女








五射目を射って違和感に気付いた。



振り返ると私服で正座して俯いてる女の子。



「雪姫?」



すぐに問いかけてみた。
でも返事をしない。



「陸人さんと来たのか?」



そう思ったから聞いてみたのに動く気配がない。



「雪姫?」




そうだ。

こんな寒い場所で正座なんて。

雪姫は昨日、熱を出したのに。



無意識に雪姫に近付く。




「…え?雪姫!どうした?なんで…」


雪姫が泣いていた。

慌てて肩に手を置くと謝られた。



謝りながら泣く雪姫を見て、
ソファでポツンと小さくなっていた姿を思い出した。



思わず抱きしめそうになったが理性が止めた。

でも、以前泣いたら胸を貸すという自分の言葉を思い出す。



「ごめん、ちょっとだけこのままでいて」



軽く抱き寄せたら

雪姫がすがりついてきた。


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