好色歯科医が初めて真剣な恋をしました
4

真美が 駿平に 抱かれることは 

自分への ささやかな 反抗だった。


何に対しての 反抗か 真美にも よくわからなかったけど。

多分 いい子の自分に対して。

理想的な 家族に対して。



真美の実家は 北関東で 両親と弟の 4人家族。

高校卒業と同時に 真美は 上京したけど。

地元の大学に 進学した弟は 今も 実家にいる。


どこにでもある 普通の家族。


父と母は 夫婦仲も良くて。

最近は 2人で温泉旅行に 出かけたりしている。


家族に 不満はないし 大好きだけど。

それなのに 真美は 家族が負担だった。


『まるで 反抗期の中学生みたい。』

真美の胸で 燻り続ける不満。


平和で幸せな 家族に合わせて

いい子でいた 真美だけど。


恋人でもない駿平に 抱かれて

『私は こんなに悪い子なんだよ。』

と思うことで 解放されていた。 


それなのに真美は 最近 駿平を 好きになっていた。

『これじゃ 反抗にならない…』


駿平に 思いが届かないことよりも

自分に 背いていることに 真美は 動揺していた。





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