諦めた心

④··日和


心配してくれた二人には
直ぐに連絡をした
すると翌日、
ゆかりちゃんと旭君が
病院へと来てくれた。

ゆかりちゃんも旭君も
一華を見て涙を流し······

身体の事を聞いては
再び涙を流し······

そして、
そうなった経緯を訊いて、
二人とも怜に対しての
怒りは凄く
「「人間じゃない!!」」
と、言っていた。

ゆかりちゃんが
【相手にされていないと
わかっている。

怜は、お父さんを尊敬し
憧れているから
それに私が、
お兄ちゃんの妹だから
断れなかったんだと
わかっているの

だけど、もうちょっとだけ
怜の彼女と言う名前を
味わっていたいの
たとえ彼女として
扱って貰えなくてもね。】
と、一華が言っていたと
話してくれた。

知っていたんだ····
知っていて·····
たまらない気持ちになっていた俺に
旭君が
「日和さん、俺が、俺がっ
一華を護ります。
大賀さんの事を忘れる位に」
と、頭を下げる旭君に
母も笑っていた。

それからは、
母が、日中、一華に付き
夜は、俺がついていた。

「付き添いを頼んでも構わない。」
と、先生は、言ってくれたが
母さんも俺も人任せに出来なくて···

何より、一華がまた居なくなるのでは
と不安だったから·····

大学が休みの時は
ゆかりちゃんも付いてくれたり
旭は、付かせられないが
毎日顔を見せにきていた。

一華の友人達も代わる代わる
顔を出してくれた。

一華の大学には
理由を話して休学を申請した。

中々、目覚めない一華に
一人、一人とお見舞いは
減っていったが
ゆかりちゃんと旭君は、
ほぼ毎日来てくれていた。

「無理をしないように」
と、何度も言ったが
「お願いします。
   越させてください。」
と、頭を下げてくれる二人に
感謝の気持ちでいっぱいだった。

そんな······夏を迎えた時·······
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